●『酒乱』のリレー詩
第一回(第六走者 高塚都市魚 二〇〇九年二月二十一日)
線を跨ぐ
逆光線上のあなたに深く没したい
浜風の均一が束をほどく
わたくしに白々と滑っていく一群の越境が傾く
こぼれる角度を風景と呼ぶ
あなたの仕草はあまりに近すぎ
律の遠い約束を裏切りと名指し
記憶を寄せる
はたと皺寄る水際から駆け出せよ 迫るから
二人は抜ける
立場上の砂へ
未然の水へ
はたせるかな
いつかは滅びるこの
融点上のあなたに高く架かりたい
感覚の均一が影を偲ぶ
ひと頃のあなたにほど近い熱線にふと目をこぼすわたし
の一字は死の融点感覚へ次第に戒めはじめいずれはいず
れかが接線から遠ざかる
©shuran